20170413defild■舞台「Defiled -ディファイルド-(10)」DDD青山クロスシアター 19:00開演(上演時間:1時間40分)。
作:LEE KALCHEIM、翻訳:小田島恒志、演出:鈴木勝秀
出演:勝村政信(ブライアン・ディッキー)、戸塚祥太(ハリー・メンデルソン)
声の出演:中村まこと(署長)、佐藤真弓(メリンダ)
※ブックカバー、入荷した様子で、赤黒どちらも売ってました。販売制限あったのかな。今回は黒を購入。1,000円。G列センターで観劇。

さてと2回目。奇跡のプレイガイドの一般発売日に取れた2公演のウチの1つ。客席全体の丁度ど真ん中の祥太の目線あたりの席なので、気合入れて挑む。最初に書いてしまうけれど、観終えてすっごくすっきりしたのね。うん、すっきり。初演(相米版)を観ていたのにも関わらず、細かい内容がすっぽ抜けていたストレス(自業自得)が、1回目の観劇で芝居の流れと内容を把握できて無くなって、最初から落ち着いて観れたからかもしれない。芝居には引き込まれたけれど、気持ち的にオチることもなく、すごく面白かった。

そんなことで、以下、思いっきりネタバレしてますが、観てない方が読むと意味わからないかもしれない。一度、ご覧になった方は、あたしとは違う見方や解釈をしているだろうと思うので、適当に読み流すスタンスでお願いします(セリフの聞き間違いとかも見逃してください&加えてあたしカタカナの長い名前は覚えられないヒトなので、思いっきり割愛してると思うので、その点もお許しを)。そして、今ぱっと思い出せるものだけ書きなぐるので、また追記するかと思います。ええ。

 

オープニング。会場が暗転する前に、目録カードの棚の上に並べらているダイナマイトに照明があたり、白く浮かび上がる感じ。それが徐々に客席が暗くなると、本棚全体に光があたり、一気に図書館に紛れ込んでしまったような、ステージと客席の一体感。これ、不思議な感覚だったな。そして不穏なサイレン音(といってもかなり無音に近いSE)。そして静かに流れ始める「Ave Maria」。

本当に今回のこの「Ave Maria」がとても好き。ピアノとギターに、不穏さを感じるSEや女性のコーラス(スキャット)が散りばめられていて、でも静かに進行していくギターの主音にピアノの伴奏。そして徐々に打楽器も加わり、静→動へと力強いものに変わってくる。ああ。曲の一部(頭のさわり)は、初日のWSのめざましの映像でちらと流れてましたね(これの軽部さんのナレーションの裏で流れてるのがそうです。

この舞台は円盤化されること可能性はあるのかなぁ。CATプロデュースのオンラインショップを観ると、風間と勝村さんの出てた『ビリーバー』はDVDが出てる(それも特典映像付きで!)。要望を出してみてもいいのかもな。ただし、これをDDDで収録するには、客入れしてると映像のカメラを入れるの難しいよね。DDDでは厳しいとすると、大阪で、、とか?(円盤化するためだけにDDDで上演するとかは、、無いよね)。
 
nike本題に戻る。「Ave Maria」が流れ始めると舞台の下手から、ハリーがダイナマイトを抱えて静かに登場。少し髪を切ったね。9日よりもすっきりしてる。公演の前に雑誌の取材が入ってたのかもな。衣装は黒のMA-1に白Tシャツ、黒の細身のパンツ。黒のNIKEコルテッツ(左の画像)。

棚の上に置かれていたものとあわせてダイナマイトは全部で17個(数えた)。外の様子を気にしながら、手作りのダイナマイトをひとつひとつ、本棚へ丁寧に置いてはスイッチを回して確認。グレーの本棚に、オレンジ色のダイナマイトがバランス良く置かれていく。そうだ、初見ではアクシデントだったのかなと思ったのですが、上手の半ばの棚からダイナマイトが転げ落ちるのは演出なのですね。あと2つ設置すれば終わりという時に、ポロっと落ちたダイナマイトに気が付き、ダッシュで拾いに行き、衝撃で作動してないことを確認して、軽く空を仰ぐハリー。そして、また丁寧に置き直して胸をなでおろす。

外からスピーカーを使ってハリーに声を掛けるブライアン。ひどくハオるのことを文句を言ってたな。勝村さんのアドリブだよね。みんなくすくす笑ってた。そして前回うっかり観損ねたブライアンの登場シーン。椅子に座って少しほっとしていたハリーを観てたら、やっぱり登場の瞬間は観損ねました。気が付いたら上手の棚の隙間に立ってた。でも、そのブライアンを見つけてびくっとして構えて、ばばっと飛び出すハリーは、やっぱり猫みたい。そして、もうこのタイミングで汗が凄い、キラキラ。

ハプニングといえば、ブライアンの脱いだ上着をカード棚に置いたところ、老眼鏡が胸ポケットから落ちて、カード棚の後ろの本棚に挟まってしまったのね。アドリブで状況を説明するブライアンに、棚の下に手を伸ばし、老眼鏡を救出するハリー。うん。「ステージは生き物だ。 それに対応するなんて当たり前のことだろ」(byコウイチ、SHOCKより)

警察手帳、床を滑らすものの。半分くらいまでしか届かない。床を指でとんとんと叩き、再度滑らすことを促すハリー。今度は勢いがあり過ぎて、ステージから落ちる。非難する目線をブライアンに投げて、軽やかにステージから降りて、警察手帳を拾うハリー。これ。ステージから落すのも演出なのね。勢い付きすぎて、客席まで飛んでしまうのもご愛嬌。

命を救うのが私の仕事だ、刑事なんだから
一番最近、命を救ったはいつだ?
おととい
え、マジで?
この台詞のきっかけの流れは、これでした。すっきり。凄い早口で畳みかけるようなセリフなのにちゃんと聴きとれるし、噛まない。二人とも凄い。
拒絶を受け入れない人間は芸術家に向いてない
これ、印象的だった。

nikkan0406これもこの間、記憶から抜けてたところ。コーヒーをハリーに勧める場面。ブライアンが先に飲んで、薬が入ってないことを証明してたね。そりゃそうだよね。ぢゃなきゃ、後で飲まないよね。ニッカンの写真で使われてた、机の下にしゃがみ込んで警戒しているハリーはこの場面(右のヤツ)。
薬が入ってるんだ?
だから、美味いのかもしれない
その後、美味そうに飲んでましたな、ブライアン。んー。ハリーが机に脚を投げ出して、横柄な態度で座ったのって、水筒を持って来たあとだったかな?

コーヒーを再度進め、結論を急がないと言うブライアンが座ったあと、静かな無言が続いた後、ハリーが
コーヒー貰おうかな…
言ったあとのブライアンの動きが早い。ぴょんと上手のはじの方に座っていたのに、嬉しそうにタタタ、、とデスクに駆け寄ってくるのが可愛い(勝村氏は53歳ですけど、なにか?)。そして、注がれたコーヒーの薫りを嗅ぐハリーの表情がとても好き。で、水筒の中身、本当にコーヒーだったように思います。注がれるときに見えた液体が琥珀でした(あ、お茶の可能性もあるのかな)。ちゃんとカップの中身は全部飲み干してらしたね。

本や図書館の歴史や、カード目録に関して、専用用語やカタカナの長い名刺を、これも早口で捲し上げながら、ステージから客席を練り歩くハリー。あれだけの膨大な台詞の洪水。凄い。あっと言う間に通路の横を走り降りていく。ちなみに客席に降りるタイミングは、ハリーがきっかけをつくり(指鳴らしてたかな?)、客席にライトがつくのね。16と15の間の通路から階段を上り、Lの17と15あたりの前で立ち止まり、後ろの通路を進みKの8,9あたりの前に佇んだのちに、一気に階段を駆け下りてステージに戻るの。カード目録のシステムの説明の中での
よく訓練された司書だ
という台詞の時に、どう云えばいいのかな。右手をくるっと回して、ご挨拶をするようなジェスチャーをするの。あれ、もう一度観たい。

君はユダヤ人か?と問われたハリーは、父は無神論者で母がユダヤ教徒なので、半分はそうだと答える。年に一度、母の命日には礼拝堂に行くという。
ユダヤ教徒として、無神論者として?
息子として
お母さんの話をするハリーは少し優しい顔をする。きっとね、ちょっとマザコンなのかも。

メリンダが無線機を通して、ハリーに語りかけるシーン。心配してると切々と語りかけられる最中、目録カードの棚の上手に手をつき、
笑っちゃうよ、笑っちゃうよ
って自嘲気味に言ってるの、前回気が付かなかった。この時、ブライアンはハリーに聴かせないようにと、自分の服の中に無線機を隠すのね。そこに駆け寄って
ほらっ、ハンサムとは言わなかった
って訴えるハリー。よっぽど、コンプレックスだったのね。ハンサムではないから振られたと、どこかで思っていたのかもしれない。だから、催眠術師に騙されたのかも(どちらかというと自ら騙されてた気がするけど)

メリンダとの会話のあと、上手の階段のところに座り、前回観たのと同様に焦点の合わない狂気的な目をして呆然としていたけれど、前回のようにぶつぶつとひとりごちてはなかった。髪の毛をもしゃもしゃとしていたところも、そこまでぐちゃぐちゃにかき回すものではなかった。


そろそろ、集中力が切れてきたので、印象的だった会話を。

どうしてキミは結婚しなかったんだ?
そんな時間ないよ
結婚すればむしろ時間の節約になる
僕には本があるから
本からはなにもかもは得られない
本は、今まであったどんな女よりも僕に多くを与えてくれる。別に女性蔑視をしているわけではないよ。ただ本は気にいらなければ脇においておける

ここまで、19日&20日に観劇するまでに書きあげたかったけれど、時間切れ。あとは覚書

・机に上ったり、棚にのぼったりするときもバタバタとした音がしない。意識して音をたてないようにしてるんだろうか。猫の様。
・前回よりも台詞の言い回りが、ツカ舞台の言い回しが抜けてた。興奮して捲し上げるとちょっと出てくるけれど、これも意識してるのかな。それともスズカツさん(勝村さん)の指摘?。
・復活のカップを嬉しそうにもってくる(尻尾が見える)。カップのブルーがとても素敵。意外に薄いので液体をいれると入ってる部分が透けて見える。
・「俺に味方しろ!!!
・ブライアンが一旦、出ていく時に駄々をこねる子供のよう。
・ためらいながらも言い切る「Yes」
・ブライアンに本を渡してから、最後にカード目録をじっと観たときにみるみる表情が変わる。きっとこの時に懸念が出て、ブライアンだけ外に出して決行しようと決心したのかもしれないね。
・最後の台詞
ちくしょう(苦悩に顔を歪める)、ちくしょう、何がテクノロジーだ
駄々をこねるような前回とは違って、吐き捨てるようなセリフ。
・赤い炎に包まれるような照明はハリーにだけ当たってる。

一度、これで揚げておきます。